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Research Results

学際基盤研究室

シリカゲルを利用したベンゾチオフェン合成法の適用拡大

 ベンゾチオフェン類は硫黄を含んだ複素環化合物であり、その誘導体の中には有機材料や医薬品等に利用されているものもあります。当研究室では擬T字型に置換基を配置するベンゾチオフェン類の合成のための分子足場(Molecular Scaffold)として、複数のハロゲン原子を置換したベンゾチオフェン類の合成と応用について研究しています。その研究過程でo-位に硫黄原子を有するベンゼン環のついたアルキンをシリカゲルと共に加熱することで誘起される環化反応によりベンゾチオフェン類を合成する方法を見出し、これを利用して擬T字型にハロゲン原子を有する誘導体を合成するとともに、そのクロスカップリング反応について検討してきました (総説として、Ref.1)。今回は、このシリカゲルを用いるベンゾチオフェン合成法の一般性について検討し、様々な置換基を有する原料で上記の環化反応が進行することが確認できました。例えば、原料中で硫黄に結合しているアルキル基については、合成的に使いやすいメチル基でもシリカゲルで環化が進行することが確認できました。一方で、副反応等により適用しづらい官能基についての知見も得ることができました。また、5員環同士で縮環したチエノチオフェンが合成できることもわかりました。これらの結果は、これまでに合成例のない誘導体の研究に役立つと期待されます。

シリカゲルを利用したベンゾチオフェン合成法の適用拡大

(論文情報)

  1. K. Toyota, H. Tanaka, T. Hanagasaki
    Results in Chem., 2022, 4, 100487.
    DOI: 10.1016/j.rechem.2022.100487
    https://doi.org/10.1016/j.rechem.2022.100487
  2. (Ref. 1)
    K. Toyota, S. Mikami
    Heterocycles, 2021, 102(11), 2063–2098.
    DOI: 10.3987/REV-20-950
    https://www.heterocycles.jp/newlibrary/libraries/journal/102/11

(掲載日:2023年9月26日)

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  • 東北大学
  • 東北大学大学院理学研究科・理学部
  • 東北大学巨大分子解析研究センター
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