東北大学理学部化学科の研究室での生活は実際にはどのようなものなのでしょうか。学年ごとに習得すべき目標やイベントを見てみましょう。
学部1、2学年での授業中心のカリキュラムの後は、自分の最も興味がある分野の研究室に所属し、最先端の研究を通して学ぶ生活が始まります。東北大学理学部化学科では3学年後期(6セメスター)から研究室配属が行われます。これは一般的に研究室配属の時期が4学年前期(7セメスター)であることに比べ、半年早くなっています。そのため学部卒業時点で、より深い専門知識や実験技術を習得できるという利点があります。
この期間の目標としては、精確かつ安全に実験を行う技術を身に付けること、教科書や国内外の論文から研究活動に必要な情報を収集できるようになることが挙げられます。配属したばかりでは分からないことだらけですが、大学院生の先輩が丁寧に指導してくれるので心配はいりません。また多くの学生は8月の大学院入試に向けた準備を行います。
教員や大学院生とのディスカッションを行いつつ卒業研究を進めていきます。この過程を通して、実験結果を論理的に分かりやすく説明する能力や、研究内容のプレゼンテーション能力を習得していきます。中には卒業研究の内容が学術的に評価され、最新の学術誌に掲載されることや、本人がそれを国内外の学会で発表することもあります。また理学部化学科の中で優れた卒業研究を行った学生に平間賞が授与されます。
大学院の授業では学部の授業とは異なり、より高度で専門的な最先端の内容が扱われます。また研究活動では学部での経験を基に、自ら計画しながら研究を進めていきます。もちろん困ったり、行き詰まったりした時には、指導教員からの懇切丁寧な助言を受けることが出来ます。修士課程の2年間では、国内外の学会で発表することや、国際的な研究雑誌に投稿することを目指します。修士課程修了後、約2~4割が博士課程に進学します。
博士号を持つということは国内だけでなく海外でも一人前の研究者として認められるということです。博士後期課程では、これまで培ってきた知識を基にして、新しい独創的なアイデアによる研究を行います。国内外の学会では自らの研究成果を発表するだけでなく、多くの交流を通じて国内外に研究者ネットワークを構築することができます。また後輩の研究指導や研究室の運営に積極的に関わることで、リーダーシップ・責任感が涵養されます。さらにこの時期には研究生として海外留学をするプログラムも用意されています。
東日本大震災では幸いにも本学科において一人のけが人も出すことなく済みましたが、改めて安全確保の重要性を思い知らされました。本学科では、研究室内の安全点検や化学科での火災訓練、理学研究科全体での地震訓練などを通して、普段より学生・スタッフ全員の安全に対する意識を高め、危険を最小化できるよう努めています。